パンダ笹団子のブログ

パンダちゃんや動物中心のブログです

館山市城山公園のサルとキバタンの様子~アクティブなジョーちゃん~

先月に館山市城山公園を訪れてから早1ヶ月、キバタンのケージが寄附されるなど少しではありますが環境に変化がありました。そこで様子を見るため、3月2日(土)に再度行ってまいりました。この日は肌寒いものの少しずつ春の訪れを予感させるような好天に恵まれた1日でした。公園の入り口から孔雀園までの急な坂道を歩いていきますが、体力には自信のあるわたしでもこの坂道は結構きつく、息があがります。足腰鍛えるにはいいかもしれません。孔雀園入口から右手にあるランちゃんの檻を覗いて見ると、いつも通り檻の中で毛づくろいしたり、外の様子をうかがったりしていました。

前回同様に人もまばらで子連れの親子が何人か訪れる程度です。いつもここに通って動物たちに会いに来ているというご年配の女性にお会いしましたので、しばらく一緒に観覧しながらお話しをさせていただきました。また、飼育スタッフの方もいらっしゃったので、色々とお話しを聞くことができました。

f:id:izuchanpanda:20190303103455j:plain

毛づくろいするランちゃん

キバタンの新しいケージがどうなっているか確認してみると、いつもどおり小屋の中に入っていました。外に出れないせいか最近はあまりしゃべらなくなったらしいです。また、くちばしの力が強いためすぐにケージがだめになり、おもちゃもすぐに壊されてしまうとのこと。人のやることを覚えるのかケージの扉も開けようとするそうです。キバタンのパワーに驚きです。

f:id:izuchanpanda:20190303103734j:plain

新しいケージにいるキバタンのじゅんちゃん

ジョーちゃんはどうしているか見てみると、活発に動き回っている様子が確認できました。今日は飼育スタッフの方がいらっしゃいます。ジョーちゃんの檻の隣にある小屋の中で作業をされていましたので、ジョーちゃんはその音に反応していました。

f:id:izuchanpanda:20190303104155j:plain

物音や人に反応してアクティブなジョーちゃん

まずは飼育スタッフの方のお話しをまとめてみます。ランが育児放棄をしたということが気になりましたが、やはり事実だそうです。血を見るほど危険だったために引き離して、当時の飼育スタッフの方が人工哺育をされたそうです。動物園からつがいでこの公園にやってきたのですが、すぐに雄は亡くなってしまい、ジョーが産まれたとのことでした。飼育下の育児放棄は稀におこるものなのか私にはわかりませんが、何かしらの原因があったのだとは思います。

・群れから引き離されたことによるストレス

・一緒にいた雄が亡くなったことによるストレス

・環境の変化によるストレス

・もしかしたらラン自身も人工哺育だった

上記4つはあくまで私個人の推察であり、事実は不明です。

続いてランの檻についてです。昔、サルを飼育するための檻を頼んだところ、届けられたものは今のランが住んでいる檻だったとのこと。現在の飼育スタッフの方は最初からいらっしゃるわけではないので細かいところは分からずとのことです。ひと昔前はこういうのが当たり前だったという感じでした。それにしても足元も檻になっていて土を踏むことができないですし、エンリッチメントを考慮されていないのは事実です。いずれにせよ、一度育児放棄した母娘を一緒にするのは危険なので現状の単独生活はやむを得ないという状況です。ただ、ジョーちゃんはお母さんの方をよく見ているので気になっているのではないかな、と私は個人的に思います。

実際に檻を新しくすることができればいいけれども、それは市が決めることであるし、そのお金は税金から賄われるものであるため、財政上の問題もあるとのことです。

檻からランを移動させるためには麻酔を使わなくてはいけないことも懸念事項としてあげられていました。高齢のため、麻酔を使用することでの事故も考えられるとのことです。私自身専門的知識がないため、移動するために麻酔が必要なものかどうかは不明です。

以前に、善意からプラスチック製のおもちゃをもらったらしいのですが、ジョーはそれをすぐに壊してしまい、食べてしまったら危険なのですぐに取り除いたとのことです。また、ランの檻を見ていただくと分かりますが、側に木があります。実は昔は屋根が少し開いていたらしく、ランはそこから手を伸ばして葉っぱをとったりしていたようです。ですが何かの指導で屋根は覆わなくてはいけないと言われ、塞いでしまったという経緯があったようです。自分で葉っぱに手をのばせなくなったのでかわいそうだとおっしゃっていました。

譲渡についても聞いてみましたが、既に群れから離されて何年も単独生活しているため、いきなりどこかの群れに入れたとしても攻撃されてしまうこともあり難しいそうです。仮に引き取ってくれたところでも、群れに入れるわけにはいかないので単独で飼育することになってしまうだろうとのことでした。簡単に譲渡というわけにもいかなそうですし、環境の変化にランとジョーが適応できるかどうかも心配なところです。

続いてはいつもこちらに通っている女性とお話しして聞いた内容です。この女性は今までずっと猫を飼っていたそうで、寝るときも一緒だったそうです。「一緒に寝ていると猫の寝息がスースーと聞こえてくるのよ」と愛おしそうにおっしゃっていました。愛猫ちゃんが亡くなってからはずっとこちらにきて動物とお話ししているようです。特にジョーちゃんのことをかわいがっていらっしゃるのが印象的でした。ジョーの檻にタオルをしいてあげていたけれど、このタオルを入れたらすごく神経質になってしまったのよね、とのことです。こちらはよかれと思ってやっていても、難しいわね、と。それからこの女性が来てくれるのがジョーちゃんは嬉しいようで、いつも檻から足を出してくるみたいです。

f:id:izuchanpanda:20190303115302j:plain

足を出してごあいさつするジョーちゃん

この女性はジョーちゃんに「ジョーちゃんはかわいいね、大好きだよ」と何回もニコニコと話しかけていらっしゃいました。その方曰く、動物は感情豊かだし、言葉そのものの意味というより内側にあるものを感じ取っているのよね、ともおっしゃっていました。こうして懐いて足を出してきたりするのはいつもお世話してくれる飼育スタッフの方とわたしだけよ、と、嬉しそうです。もっとも飼育スタッフの人は餌をくれるからね、と満面の笑顔でした。帰り際にバイバイとか言うと、怒るのよ、だからさり気なく帰っちゃうわ、と言って最後まで笑顔で手を振ってくれていました。80代とは思えないくらい若々しくて素敵な笑顔の方でした。こうしてランとジョーを気にかけて通ってくださる方がいらっしゃることはとても嬉しいことです。

今回お話しをうかがってみて、飼育スタッフの方は今ある環境の中で精いっぱいのお世話をされているということが分かりました。ですが一方で、今までずっとこうだったからこのままやっていくしかないというような、変化に対してあまり前向きではない印象も受けたことも否めません。動物を飼えば、当然その為の経費がかかってきますし、檻も老朽化すれば修繕していかなくてはいけません。また、動物本来の習性を考慮して、快適に暮らせるようなエンリッチメントに取り組む必要もあります。特にランちゃんの檻はどう見ても老朽化が著しく動物福祉に基づいているとは考えられないので、適正な飼育ができるように早く改善してもらいたいです。ジョーちゃんも同様です。

ランとジョーの問題から、社会性があり群れを形成して生きていく動物が、人間によって群れから引き離されて、単独生活を余儀なくされていることの残酷さを改めて考えさせられました。ランとジョーは群れの中で生きていくことができたのです。人間の都合で動物をこのように扱うことは、これからの時代はなくすべきではないでしょうか。いずれにしてもランとジョーには、せめてストレスや負担をかけずに最善の方法で環境改善してもらえるように心から願うばかりです。今後もランとジョーのことは引き続きアップデートしていきたいと思います。