パンダ笹団子のブログ

パンダちゃんや動物中心のブログです

中国四川省のパンダ耿達基地

今年のお正月明けに中国四川省に行ってきました。

一番の目的はパンダ基地で飼育体験をするためです。

今回訪れたところは四川省成都から車で2時間くらいのところにある中国保護大熊猫研究中心耿達基地というところです。

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ここは2008年の四川大震災で壊滅となった臥龍の基地から数十キロ離れたところにあるようです。数年前にできたばかりなので施設も新しくてとてもきれいでした。

成都市内から車で向かったのですが、80%は高速道路で残り20%は普通道路でした。正直険しい山道を行くのだと思っていたので、道路は思いのほか整備されているんだなあと少し拍子抜けした感もあります。成都は都会なので大きな建物だらけで、人もいっぱいでしたが、徐々に景色が変わっていき、大きな湖のあたりから自然の風景が広がってきました。山を切り開いて道路を作っているので山肌が露わで岩が見えています。この辺りの山は岩山なんですね。ここで地震がおきたら落石で命はないだろうなと、ふと脳裏をよぎり、ちょっと怖かったです。そんなこんなで車で2時間かけてやっとで基地に到着しました。

車から降りると、大自然に囲まれた風景が目の前にありました。成都の都会とは全く無縁の静けさときれいな山ときれいな空気に感動しました。これがパンダの故郷かと思うとさらに感激ひとしおです。

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朝9時に基地へ着いて、ボランティア体験の書面にサインをしました。その後は作業着に着替えて飼育体験スタートです。午前中はパンダ舎の掃除など作業をしてからパンダ団子やにんじんなどの餌をあげたりしました。

飼育スタッフの方の説明を受けて(もちろん中国語なので付き添いのガイドさんに通訳してもらう)作業にとりかかります。まずはお庭の掃除ですが、食べ残しの竹や笹を拾い集めて、うんちも全部回収します。レレレおじさんのほうき(古い?)で芝生が植えてあるお庭をはいて笹をかき集めるのですが、これが意外に重労働です。ほうきが重いうえに、使い慣れていないせいかなかなか上手にかきだせない(汗)。飼育員さんは慣れた手つきでどんどんやっていくので、私もついて行こうと必死でした。うんちは結構いたるところにあるので、くまなく探して集めていきます。これもちりとりいっぱいに集めるとかなりの重量です。櫓の下にももぐりこんで、きれいに集めていきます。うんちも手に取ってみましたが(作業手袋して)、噂通り全く嫌な臭いはしませんでした。竹とか笹とか人参がそのまま出てきた感じです。この日はとても天気がよくて、作業中に汗だくになってしまいました。というのも、山の中だから寒いだろうと思ってスキーウェアを着こんでいたのです。これが裏目に出てしまいました。天気はその時になってみないと分からないので、まあこれも旅の醍醐味ですよね。いい経験になりました。掃除を終えてから、竹の準備をします。長くて太い竹はそのままだとパンダが食べられないので割ってあげるのです。長い竹を持って先端をコンクリートに打ち付けると竹が縦にひび割れます。最初はなかなかうまくいかなくて何度もたたきつけるのですが、徐々にコツがわかってきました。それにしてもパンダ1頭のお庭とお部屋を掃除したりお世話するのは重労働だと身をもって実感しました。日々この仕事をされている飼育スタッフの皆さまは本当にすごいのだなと頭が下がる思いです。

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竹割りに奮闘中

この後パンダに餌をあげました!とても楽しみにしていたので、ドキドキワクワクものです。スタッフの方から餌やりの説明を聞いて初の餌やりです。直接手からあげるのはなんとなく怖い気もしたのですが、意外と平気でした。檻から手を出させて何かをつかませてから採血したりしますよね。それと同じようなことをさせていました。飼育員さんが大きい声でパンダに何か言うと(中国語なので不明)、パンダはすぐに檻から手を出してつかむのです。その間に口元ににんじんやパンダ団子持っていくとパクっとくわえてから手に持ちかえてムシャムシャ食べてくれます。かわいい~~、としか言いようがありません。あんなに間近にパンダを見たのは初めてです。おまけにパンダの鳴き声も聞くことができました。これもかなり貴重な体験でしたね。そうそう、パンダの檻からは50センチくらいはあけて立たないといけないし、もちろん触ってもいけません。パンダが餌をくわえたらすぐに手を引っ込めることも大事です。やはりクマ科の動物なので力は強いですし、狂暴な一面もあるので。スタッフの方の指示はきちんと守る必要があります。

パンダの餌やりが終わったあとはお昼ごはんです。基地のスタッフの皆さまと同じ食堂でごはんをいただきました。学校の給食を思い出す大きな容器がいくつかありそこにはごはんやおかずがそれぞれたくさん入っています。それをセルフ方式で自分が食べたいものを取り分けていただく形です。わたしは菜食主義なのでお野菜だけを選んで食べました。なかなかお腹いっぱいになるボリュームのあるお食事でしたよ。

さて午後からはドキュメンタリーフィルムを見ました(英語です)。中国でのパンダ保護から野生へ戻す取り組みなどといった内容でした。繁殖の難しさや自然に返すことへの難しさに取り組みながら奮闘されている様子、それから子供へのパンダ保護についての教育の取り組みの様子が描かれていました。タオタオというパンダを野生に戻したようですが、その後どうしているのかはよく分かりません。元気に暮らしていることを願うばかりです。

見終わったあとはパンダ団子づくりです。きれいに手を洗ってからビニールの手袋をつけて行います。設備もきれいですし、かなり衛生面はしっかりされている印象でした。とうもろこしなどの粉が入っているボウルに少しずつお水(栄養分が入っているらしい)をいれて生地をまとめます。それを2つに分けて丸めて出来上がり。なんだかクッキーづくりを思い出しました。そのあと蒸すんだと思いますが、体験できるのは丸めるところまでです。あのときのパンダ団子、パンダちゃんは食べてくれたかな?

パンダ団子づくりも終えて、飼育体験は終了です。終わったのは午後3時くらい。最後に作業着を返却して、記念品としてポストカードセットとTシャツにボランティア証明書をいただきました。なんだか一仕事終えたせいか達成感を感じることができました。終わったあとは基地の中を見てまわりました。基地は一般の人も入場することができるのでお庭にいるパンダちゃんを見ることができます。天気はいいのですが山奥までパンダを見に来る現地の人はあまりいないようで、基地内はとても静かでゆったり穏やかな空気に包まれていました。こんなところで暮らしていたらパンダも幸せなんだろうなとしみじみ思いました。

今回の基地訪問と飼育体験を通して感じたことですが、中国にしかいないパンダを国がしっかりと保護管理しているんだなという印象を受けました。中国も開発の波が押し寄せているせいで、何もしなければどんどんパンダの生息地域は減少し、それに伴って野性のパンダも減少してしまいます。そういう状況を改善すべく、自然保護区域を作ったり、分断されている生息地をつなげようと努力したりしています。これは簡単なことではないと思います。中国固有の動物であるパンダを、我々外国人が勝手に自分の国のものにすることができないような仕組みにしているのも致し方ないことだと思いました。なぜなら、仮にも中国国外でパンダが自由に取引されたりしたらどうなるでしょうか。それこそ商業目的でどのような扱いをされるか分かりません。外国で生まれた子供たちを中国へ返還させるという仕組みも、パンダを守ることにつながっているのだということを我々外国人は理解する必要があると思います。多くの日本人が上野の香香にはずっと日本にいて欲しいと思っているはずです。けれどもパンダにとっての幸せを考えてあげたら、そのまま日本にいるのが果たして幸せでしょうか。故郷である中国に帰ってお婿さんを探して未来のために子供を作っていくことが香香の幸せにつながるのではないかと思います。我々人間はせめてパンダが暮らしていく自然環境を破壊しないように、自分の生活を見直していく必要があるのではないかと思いました。パンダを守るイコール自然を守ることにつながるのだと改めて実感させられた今回の旅でした。

最後にかわいいパンダちゃんの写真をアップさせていただきます。

ちなみにパンダとツーショット写真は今年から規則が変わりNGだそうです。色々理由はあるみたいですが、我々外国人は色々な意味でマナーを守る必要がありそうです。

パンダちゃんに「また来るわね~」と言って基地を去った私でありました。

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木の上でひと休み

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日向ぼっこ

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天気がよくていい景色