パンダ笹団子のブログ

パンダちゃんや動物中心のブログです

犬が殺される~動物実験の闇を探る~ を読みました

先日ある本の出版記念講演会に行ってきました。その本は、動物実験の闇を深く追求したノンフィクション作品です。著者は時事通信社の記者である森映子さん。この方は2012年から6年間に渡り、大学や企業さらには公的機関へ取材をされてきました。その長きにわたる取材で得られたものがこの1冊の本に綴られています。また、本書では取材相手の団体や名前も全て匿名ではなく本名で明かされています。幾度となく取材拒否にあわれたり困難の連続であったと思われます。どのような団体や人物が動物実験に関わっているのか、また動物実験の現実とはどういうものか、そしてその中でどれだけの苦しみを動物が受けているのかということが赤裸々に綴られています。

動物実験といっても一般の人にとっては一体どういうものか全く未知の世界だと思います。しかしながら、私たちが毎日の生活の中で当たり前のように消費しているものの陰に、たくさんの動物の命が闇の中で葬られてきたことを忘れてはならないと思います。そうです、動物は私たち人間が快適に暮らしていくための犠牲となっているのです。例えば医薬品、医薬部外品、洗濯洗剤、台所洗剤、シャンプー、トリートメント、化粧品、あらゆる分野で動物実験が行われています。また、農作物を育てる上で農薬が使われますが、これも例外なく動物実験されています。そう考えると、わたしも動物を食べていないと言いながらも、動物実験された農薬を使った野菜を食べていることになるのです。大学の教育現場で飼育されている動物たちの飼育状況や実験や実習などもひどいありさまに驚きを隠せませんでした。獣医学部で獣医を目指している学生さんたちは皆動物に対して愛情があって、そういう志を高く持っているに違いないと思いがちなのですが、やはり皆が皆そうではないということです。内容については是非本書を読んでみて下さい。本当に信じられない、ということが日常的に行われていますし、日常化しているから動物を物のように扱えるようになってしまうのだろうと思います。もちろん中にはそうではない獣医師の方もいらっしゃることは事実です。

今回の動物愛護法改正についても動物実験で扱われる動物たちは愛護法からははずされているのが現状です。前にも言及しましたが、医系の議員が真っ向から反対しているせいです。まがいなりにも一時は獣医師or医師を志した人間なのですから、それなりの倫理観を持っていてしかるべきだと思うのですが、現実はそうではないようです。動物実験の動物はどうして愛護法からはずされるのか、結局のところ研究者や企業のエゴや古い慣習が残っていて、そういった研究や企業の利益にマイナスになると考えているからなのでしょう。それに加えて医系の議員が後押しするような状況になっている。これではいつまで経っても動物福祉は実現されることはありません。日本はこのようなことでいいのでしょうか。

本書は動物実験の闇に光を当てると同時に、今消費者である私たちにできることはなんなのだろうか、またどのような行動をとって選択していくべきなのかということを改めて考えさせてくれます。獣医師も、普段私たちが生活で消費しているものも、現実をしっかりと見極めて選択していく必要があると思います。例えば医薬品であればジェネリックを選択する、化粧品は動物実験をしていないブランドを選択する、食べ物はオーガニックを選択する。それほど難しいことではないので、生活の一部を少しずつ見直していくことが私たち消費者にできることではないでしょうか。

なお、現在では少しずつではありますが、動物実験に代わる代替え法も研究が進められているようです。ですが、まだまだその道のりは遠く、たくさんの動物たちが犠牲になっていることは事実です。

アマゾンから購入できますので、ぜひ本書を手にとってみてください。

https://www.amazon.co.jp/犬が殺される-動物実験の闇を探る-森-映子/dp/4886838529/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E7%8A%AC%E3%81%8C%E6%AE%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B&qid=1553417478&s=gateway&sr=8-1